natural love

ここで静かに一息


   夜明け          そめこ

  夜明けの美しい時間に
  ふいにあなたのことを
  思い出しました
  あなたと一緒に
  この夜明けを見たい
  そんなことを
  思っていたのです


   冬の散歩         いく

  冬の森に小さく入り
  こもれびを両手ですくう

  こぼさないよに
  光の粒をまあるく包むと
  木立ちはレモンに
  そしてあなたもレモンに染まって


    道            そめこ

  いつの日だったか
  あなたが私に会いに来てくれた日の午後
  ふたりで散歩した道ばたに
  黄色い花が咲いていました
  黄色というよりはだいだい色で
  午後の日射しの中で咲いていた
  あなたは散歩道をすっかり気に入り
  わたしはいつまでもその花を
  忘れないようにしようと思ったけれど
  思い出の中の花の名は
  もう忘れてしまいました
  ただあの一瞬のきらめいた午後だけは
  いつまでも忘れません 


    雪の街          いく

  雪の中を掛けてきた、あなた

  まるで子供のような笑顔で
  私の瞳をのぞき込むから

  弾む心がうれしくて
  知らず知らず私も子供

  なんどもなんども振り返るから
  私もあなたを追いかけて

  消える前に抱きしめて


    森羅万象        そめこ

  森羅万象という言葉が好きです
  なにもかも一緒という感じが
  独り独りをつなげている
  生きとし生けるもの
  私は独りじゃない
  そんな感じがするから好きです


    あなたの午後       いく

  そんな午後は楽しくて
  すべてのものが耀いて
  道ゆく人もやさしくて

  あなたの姿、追い求め
  時間を忘れ待っていた

  そんな夕焼けの午後に帰ります


   マーガレット       そめこ

  出しそびれた絵はがき
  あの暑い夏に書いた絵はがき

  それは白いマーガレットの絵はがき
  いつまでも机の上で咲いています


     出逢い          いく

  どこまでも続く山並み
  あなたとの旅の途中で

  少女がほほえむ

  私もほほえむ
  あなたもほほえむ


    あの森は         そめこ

  あの森は
  もうすっかり雪に閉ざされて
  もうすっかり神域になって
  神様が宿っているんですね
  春まで待ちます
  あの森は思い出の森ですから


     雪の夜          いく

  さらさらの雪の夜
  あなたとお気に入りの映画をみる

  肩をたたいて笑いあい
  何も話さず涙を流す
  暑いくらいにストーブを焚いた部屋
  冷えたビールを飲み干した

  さらさらの雪の夜
  そして、あなたに抱かれた