信条など


FlyFisher誌リニューアル
一見して感じたのは「文字が多くなった」ということ。
バックナンバーも含めて振り返って見てみると、その内容はいろいろな方面の雑誌同様「年間のサイクル」というものが明らかに存在する。もちろん、季節による変動の激しい趣味であるから、必ずしもそれは悪いことではないが、表面的に見えているそういう部分以外にココロの中にくすぶっていた不満が、今回のリニューアルで氷解したように思う。
それは「活字による情報提供への回帰」である。
私たちフライフィッシャーは、フィールドに立ったときに無数の情報を収集する。それは、FlyFisher誌が繰り返し呈示してきたことでもある。そしてそれは同時に、読者がより多くの情報を愛読誌から収集しようとする姿勢をもたらした。
しかし、最近の誌面では(大サイズの)写真が多い」「文字が少ない」傾向で、(釣りに行くモチベーションを高める効果は十分あるが)そこから読み取れる情報量は必ずしも多くはない印象であった(他の雑誌は隅から隅まで繰り返し目を通すのに、パラパラッとめくって終わり、のことが多かった)。安易に美しい風景や魚の写真を増やすだけの誌面構成では、各種のビジュアル系メディアで情報を得られるようになってきたこの時代には支持を得ることは難しい。
新誌面は活字による情報量が多くなった。それは、読者の高い要求に対応した変化、と好意的に考えている。原稿を書く人にとってはフデの振るいがいのある、読者にとっては読みごたえのある雑誌、そんな展望が垣間見れた。
新進の「FlyRodders」、異色の「フライの雑誌」、アマチュアリズムの薫り高き「FFJ」も好みであるが、その理由が「活字による質の良い情報提供」であると今回気づいた。

竿は六角、リールは重め。
どうしても竿が曲がらない場合、信条を曲げる場合もあります。(ザブトン1枚っ?!)
(フェンウィックのイエローグラス欲しい。(T_T)→買いました。(^_^)v)
バンブーロッドと重め(重い)リールの組み合わせが本当にいい!と最近思うようになりました。
以前から、重めのリールがキャスティング時にバランサーとして役に立っていると思っていましたが、魚がかかってからも具合がいい。手元に重心があるので、グリップを握り締めずに魚の引きに対応できます。

針はバーブレス。
厳守しています。しっかりフッキングしてればまずバレません。
バンブーロッド(あるいはグラスロッド)のほうが、ピンピンしたカーボンロッドよりラインが緩みにくく結果としてバレにくいように思います。
自分を釣ってしまった時は、本当にバーブレスにしておいてよかったと思います。
魚をリリースする時も簡単!

竿一本、糸一本、針一本。
説明は必要ありませんね。ウェットでやるとしても、ドロッパーなし

放流魚とは
「釣れないから漁協はもっと放流しろ」とか「放流日を教えろ」とか「放流場所を教えろ」などという人がいるようです。
自然の遡上のない河川のアユのようにその年に放流したものを全て釣ってしまってもいいのならまだ話はわかります。
しかし、渓流魚はそれでは放流の意味がありません。
直接の釣りの対象として成魚を補充する釣堀の放流とは違って、漁協の放流は本来は「増殖目的」のはずです。
いつしか、放流したものを釣って楽しむ輩や風潮が出現してしまったようです。
成魚を直接釣って楽しもうとすれば、質のいい管理釣り場のようにかなりの量の魚を放流しなければ楽しい釣り場はできません。
放流魚は親魚として産卵して、その卵から多くの魚が増えてこそ、その意味があるのです。
ですから、放流魚こそ「大切な親魚」。
この親から生まれて自然に揉まれて育ったワイルドな渓流魚を私は釣りたい。

フライフィッシングと効率
アメリカで見たキャッチフレーズに
「釣りはコンタクトスポーツだ」
というのがありました。
コンタクトスポーツというと、空手などの格闘技系のものを思い浮かべますが、
銃や弓矢などのいわゆる飛び道具を使ったハンティングとは違って、
例え一瞬でも一本の釣り糸の両端に釣り人と魚がつながり、釣り上げるまでの「格闘」ともいえる状態があることをそんな言葉で表現していたのが新鮮でした。
しかし、全ての釣りがスポーツではありません。
魚を獲って生活している人々にとっては効率的に魚を獲る手段に過ぎません。
効率ということを考えれば針と糸を使った釣りよりも、
網を使ったほうが良い場合もあることでしょう。
それでは、我々の楽しんでいるフライフィッシングの効率はどうでしょうか?
フライ=効率悪さ4。5段階相対評価で、数字の大きいほうが魚を釣る上でより効率が悪い。
買ったフライは3。大事にすれば何回も使える点は生餌よりよい。
いかに本物に近い形に巻くかという方向性とどこまで簡略化できるかという方向性では、
後者の方がより効率が悪いように思われますが、さびき仕掛けでサバやアジが釣れるように、
意外に効率がいいかも。
写実的な絵画と抽象的な絵画の芸術性の上下がないように、両方の目指す方向がありえます。
バーブドフック=効率悪さ2。フライフィッシングの道具の中では数少ない効率の良いもののうち。バーブレスにするとバラしやすくなるとされ効率悪さ3くらいになる。
多くの場合、シングルフックで、ダブル、トレブルではないので効率悪さ1ではない。
ケーンロッド=効率の悪さ3。カーボンやグラスは1。魚釣りという点で竿に求められるのは安くて丈夫で投げやすいことでしょうか。
投げやすさについては、カーボンとほとんど変わりないアクションのケーンロッドがありますのでイーブン。「曲がり」が出る可能性があることと一般的に高額という点で、ケーンロッドの分が悪いか。
もちろん買った場合の話で、自分で作るとなるとトンキンケーンから1本の竿を作るほうが、
カーボンシートやグラスファイバーから竿を作るよりは簡単で安そうにみえます。
ただ、「自分で作る」という行為自体が効率の悪いことそのものではあります。
ブラスリール=効率の悪さ5。重い。現在販売されているリールの標準的な重さのものを3とすると、プラスティック製の軽いリールは1。ラージアーバーのものはさらに効率が良いように思える。
みなさんお気づきの通り、わたしはフライフィッシングが好きだし、バーブレスフックが好きだし、ケーンロッドが好き重いリールも好きです。
職業として魚を釣っているわけではありませんから、効率ということを考える必要はないはずなのですが、自分の隣で「効率よく」釣っているのをみると、なぜか心中穏やかでなくなってしまうのはまだまだ修行が足りないせいでしょう。(単に下手なだけ)
現代ではそれぞれの釣り人こだわりの程度によって、フライフィッシングをどれだけ効率的な釣り方にするかを自由に決められます。
フライフィッシングを楽しむために全ての人が
トンキンケーンからロッドを作り、
真鍮の塊からリールを組み立て、
鋼から針を削り、
シルクラインを編み、
鳥を捕まえて羽をむしってフライを巻かなければならない
としたら誰もこんな釣り方はしないでしょう。

でもこうやって釣り上げたとしたら、そのときの一匹は本当にうれしいものだろうと思います。
フライフィッシングは概ね効率的な釣り方ではない。
私にとっては、効率が悪いがゆえに、釣れた1匹の魚の重みを楽しむ釣りです。
さらに、効率的ではないということが、再生産力の低い現在の日本の渓流には適した釣り方だと信じています。